ひねもす建築|二条城《唐門》屋根葺替え工事
住宅をリフォームするのと同じように、改修工事が必要なのは国宝も同じ事。
1994年、世界文化遺産に登録された二条城も、貴重な文化財建造物を次代へ引き継ぐ為、2011年から約20年をかけ、二条城全体で本格的な保存修理工事が進められています。
第1期工事として2011年12月から保存修理工事が行われていた『唐門』(重要文化財)は、2013年9月に完成しました。前回の工事から36年経過した唐門は、檜皮(ひわだ)葺きの屋根の磨滅が著しく、部分的に野地板が露出した事による雨漏り腐朽。彫刻は風雨にさらされた事による退色と剥落。飾り金具には錆が発生していたそう。
(写真:唐門檜皮葺き工事中)
檜皮屋根の葺替え工事は、軒先の部分から、檜(ひのき)の皮を何層にも重ねて、屋根葺き用の金づちで、竹の釘を打ち込み固定します。檜の皮は、一枚1.5ミリ程。これを約60枚重ねていきます。
檜の皮は、防虫効果があり、水分を弾くよう油分を多く含んだものが良質とされて、檜皮葺き屋根1平方M当たりの重量は20キロ程度と瓦葺きと比べるとかなり軽量です。耐久性も30~40年と『こけら葺き』と比べると長いです。
四脚門、檜皮葺きの切妻屋根には、堂々としたカーブを描く唐破風(からはふ)が前後にあり、その下の欄間には鶴亀に松、竜虎に唐獅子など縁起物の彫刻、各部には金箔を押した飾り金具が施されています。彫刻修理では、退色や風化の進んだ37個の彫刻を下地から塗り直し、更に破損した部分1619箇所を復元修理しました。使用した金箔は合計11400枚だったそうです。
また今回の保存修理工事中に、新たな発見もありました。装飾品である垂木鼻先金具の菊紋の下から、葵紋が発見されたのです。そもそも二条城は、江戸幕府の初代将軍・徳川家康にて造営され、15代将軍・徳川慶喜による大政奉還を経て、宮内省の所管になったのです。菊紋は天皇家、葵紋は徳川家を示してる事から、城の主が天皇家へと変わった明治中ごろに菊紋が重ねられたのではないかと、考えられています。歴史をなぞる様な発見でしたね。
今年2018年は明治維新150周年にあたります。また新たな発見を期待してしまいますね。
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