ひねもす建築|鴟尾と鯱 火除けのおまじない
前回、木造建築の多い神社仏閣には《火除けのおまじない》が施されているとして《懸魚》をご紹介させて頂きましたが。勿論、懸魚だけではありません。今日、ご紹介するのは、こちら。
(写真:東大寺の鴟尾)
(写真:名古屋城の鯱)
鴟尾(シビ)と言う、瓦葺屋根の大棟の両端に付けられた飾りです。沓(クツ)に似ている事から沓形とも呼ばれている様で中国から伝わってきました。飛鳥・奈良時代の寺院にも使用されている事(出土もされている事)から、瓦伝来時からある装飾瓦と考えられております。
その形は、魚に似ているとも、《鴟尾》と書く事から、鴟=トビの尾を現しているとも考えられており、どちらにしても、火や風から建物を守る《おまじない》として付けられた様です。
後に、鴟尾は鯱(シャチ)へと変化します。鯱とは海に住み、水を自在に操り、雨を降らすとされた空想の魚の事で。より水のイメージが強くなり、防火性が更に強まった《火除けのおまじない》となりました。
ちなみに、東大寺の鴟尾は江戸時代に付いておらず、明治の大修理の時に取付られました。鴟尾の大きさ(高さ)は、約3Mだそうです。世界最大級の東大寺の屋根に付いていると、小さく感じますね。
他には《火除けのおまじない》として、モチーフになり、デザインされているモノもあります。
(写真:猪の目文様)
(写真:猪の目懸魚)
見事に馴染んでいますが、ハートの形がデザインされている事、わかりますか?
このハート形モチーフは《猪の目(イノメ)文様》と言い、《イノシシの目》がモチーフの元です。
猪は山火事になると、誰よりも先に逃げる事から、火伏せの神様の使いとされている事でモチーフになったとか(菩提樹の葉っぱがモチーフ説もあり)。また、獣の目=眼力から魔除けの意味とも言われています。
猪の目モチーフは、神社仏閣の色々な所に施されております。まるで《隠れミッキー》の様に、馴染んでいます。また、最近ではハート形がモチーフなので、形の『可愛さ』とハートの意味合いから、恋愛成就を願う人達が訪れる人気のスポットもあるとか。バレンタインも近い事ですので、あやかるのも良いですよね。
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