ひねもす建築|富岡製糸場《西置繭所》屋根葺替え工事
住宅をリフォームするのと同じように、改修工事が必要なのは国宝も同じ事。
昔と変わらぬ姿を残そうと、今日もどこかで工事が行われております。
明治5年(1872年)日本の近代化を目指す明治政府によって設立された、洋式操糸器械の模範工場『富岡製糸場』は、2014年、世界文化遺産に登録された事でも記憶に新しいですね。
フランス人のバスティアン氏が設計し、日本人の大工・職人達の手によって建てられた建造物は、木による骨組みに、煉瓦を積んで壁を造る『木骨煉瓦造り(モッコツレンガゾウ)』と言う西洋の建築方法で建てられており、日本瓦と煉瓦が印象的な和洋折衷の建造物です。
使われている煉瓦は、フランス人技術者が瓦職人に作り方を教え、屋根瓦と共に群馬県の窯で焼き上げた物だそうです。
この様に、同じ段に煉瓦の長手面と小口面を交互に積んでいく積み方は『フランス積み』と言い、現存するものは少なく珍しい積み方の様です。
2015年から工事が始まった『西置繭所』は『東置繭所』とほぼ同じ姿の建物で、平行する様に建てられています。(写真:東置繭所)
今回の工事内容は、保存を目的とし、建物の劣化した部分の修理です。
『西置繭所』をスッポリ囲う様に屋根をかけて、瓦、雨樋、木製建具、内部の床板等、丁寧に取り外しては劣化の状況を確認、調査、修理をしていきます。屋根から降ろされた瓦は、一枚一枚叩いて音を聞き、その響き具合により再利用が出来るか判断し、出来る限り再利用。足りない部分は現状の瓦を型取り、新たに製作されたそうです。
2018年1月現在、屋根部分では『土居(ドイ)葺き』工事が始まっているとの事。
『土居(ドイ)葺き』とは、屋根の野地板の上を薄い木片で葺く作業の事で、工事の見学施設では、モニター画面を通じて見る事が出来るそうですが。2018年3月始め頃から作業が間近に見られる様です!!大変興味深いですね。。
前回《ひねもす建築|平等院鳳凰堂・屋根葺替え工事》にて紹介させて頂いた『土居(ドイ)葺き』作業ですが、タイムリーな情報が届きましたので、紹介させて頂きました。
※富岡製糸場の画像提供は『富岡市』様より。
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